出荷管理をスマホで記録できるシステムの作り方

ここでは農業での出荷管理を農家さん自身がシステム化する方法をお伝えしていきます。
農家さんの出荷先は大きく2つのパターンに分かれていると思います。市場やJA、スーパー等の大口取引先へまとめて出荷されるケースと、レストランや個人のお宅など多くの出荷先に出荷しているケース。

ここでは後者の出荷先の多い農家さん、自分の出荷状況をシステムを使って管理する(出荷管理と呼んでいます)具体的な方法を紹介します。ここでは出荷実績をデータとして管理することと、そのデータから以下のような納品書を出力するところまでをやります。

納品書サンプル

この手順に沿ってやれば、農業で必要となる最低限の出荷管理はできます。あとは少し勉強すれば自分で拡張することも可能です。また、自分の手間以外には特にお金がかかることはありません。全て無料のサービスを使って実現できます。
※但し、最低限の環境(端末やプリンター等)は必要となります。

農業では出荷先・出荷品種が多いと出荷管理が大変…

まとめて1箇所に同一品種を大量に出荷する農家さんの場合は、出荷数、売上金額を把握するのはそこまで大変ではないと思います。逆に出荷先が、これらの数値をまとめて管理してくれることもあるらしいです。これが、出荷先が多数あり、かつ出荷している品種も多かったりすると、把握は大変になってくると思います。このような場合に出荷管理のシステム化が有効になってきます。

まず何を把握したいのかというとどのお客さんに、どの野菜を、いくらで、いくつ、いつ出荷したか。になると思います。

出荷する際には納品書や請求書などを添付していると思いますので、そのコピーをとっておいてあとで集計すればこれらの数値は把握できます。ただ、手書きで納品書などを作っていると、コピーや集計という作業が面倒になってきます。

農業で集荷管理できないと何がこまるのか?

では、出荷管理ができてない(=出荷状況を把握できない)と何が困るんでしょうか?最低限、請求金額と入金の確認ができていれば売上げは把握できますので、会計的には問題ありません。
ただこれだけだと、どのお客さんが売上が多いかはわかりますが、どの品種が売上が良いか、どのお客さんにいくらの単価で、いくつ出荷したのか、どの月にどの品種がどれだけ出たのかを把握できません。ある程度は感覚でわかる方もいらっしゃるとは思うのですが、これを実際に数値にしてグラフ等で見てみると、その感覚とずれていたり、思わぬ発見があったりします。どうしても記憶だけだと、ある一点を見た判断になりがちなのですが、これがつながった時にどうなるかが見えるようになります。

また、実績の傾向をみることで、今度はそれをもとに次年度の作付け計画の参考にもできます。当然前年の実績通りに作ればいいわけではありません。ただ実績をきちんと数値で把握して計画するのと、感覚で判断するのでは大きく違ってきます。判断するのはやはり人間の力が必要ですが、判断する為の正しい情報を出すのはシステムが強いです。

農業の出荷管理ではまず何を把握するか

では具体的に、出荷管理では何を把握すればいいかですが、ここはわかりやすいと思いますので、軽く流します。納品書を思い出してもらえるとイメージしやすいかと思います。

まずは、1回の出荷につき決まるものです。納品書等の頭に書いたりする内容です。

  • 出荷先(お客様の名称)
    野菜を出荷する先の企業や個人の名前
    (例)レストラン××、スーパー△△、山本様 等
  • 出荷先住所・電話番号・担当者
    納品書のフォーマットによっては会社名だけでなく、住所や電話番号・担当者の氏名等を出力しているケースもあるかと思います。これらの情報は上記の「出荷先」が決まれば決まってくるものです。ただ、紙で書いていたり、パソコンで都度打ち込んでいる場合には、わかりきっていることを書かないといけなくなります。
    当然、パソコンを使う場合には「コピーする」という技が使えますが、これも面倒です。
    これを少しシステム化で工夫するとこで「出荷先を選択したら自動的に入力する」ということができます。今回はこの「出荷先住所・電話番号・担当者」を自動入力するという仕組みも作ってみたいと思います。

ここからは、1回の出荷でも複数個登場するものです。出荷伝票の明細行のイメージですね。

  • 出荷作物
    出荷する作物です。出荷伝票上は「トマト」、「アスパラガス」などの「品種」レベルで記載すると思いますが、管理する側としては
    どの畑でいつ栽培したものか」という作付け単位で管理したい場合もあります。
    ですので、ここは栽培管理をどれだけ細かくやるか次第で決まってきます。
  • 出荷数量・単位
    その野菜をどれだけ出荷したかの数量です。トマト等であれば「○個」、小松菜とかであれば「○束」、ジャガイモとかは「○kg、○箱」など、品種や売り方で単位が変わってくることもあると思います。また、料が多ければ「○箱」ということも多いと思います。
    ここもひとつ工夫が必要になります。出荷する際には、そのケースに合せて単位は変えたいですが、あとで集計する際には単位を合せたいです。ですので「単位間の関係を示す単位管理表」みたいなものが必要になります。
  • 単価
    単価も作物、出荷する単位(箱、束等)や季節や出荷量(数量割引等)、出荷先(得意先等)により複数の単価になる可能性があります。出荷先や作物単位で単価表のようなものを作って管理するのが一番良いかもしれませんが、今回はシンプルに出荷する可能性のある単価を一覧にして選択するところまでやってみます。また、用意した単価以外をどうしても使う場合用に自由に単価入れれるようにします。
  • 作物毎の小計額

最後は集計した数値等になります。これも出荷伝票単位で1つ持っている情報で、伝票の上部や下の方に記載されています。
そしてこれらの情報はここまでで入力した数値から計算することができます。

  • 合計金額
    今回の出荷する野菜全ての合計金額になります。計算としては各出荷作物毎に「出荷数量×単価」を計算し、その合計金額になります。ここではまだ消費税は含まれていません(税抜き価格)。
  • 消費税・消費税率
    上記合計金額にかかる消費税額を記載します。消費税の税率は2014年3月31日までは5%、2014年4月1日からは8%と変更になっています。今後もこのような変更は発生する可能性がありますね。また一般的に1円未満の消費税は切り捨てになります。
  • 税込み金額
    上記の合計金額+消費税額です。
  • コメント
    ここは必要に応じて記載する項目かと思います。今回の出荷に何か補足しておくことがあれば記載することもあるかと思います。

ここまでの情報を管理できれば、これらから「納品書」だけでなく「請求書」や「宅配便の伝票」等も作成することができます。
では、具体的にどうやってこれらをシステム化するのかを説明していきます。
ここで実現することは

  • 出荷実績を入力できる
  • 納品書を出力できる
  • 出荷実績を集計する
  • 出荷実績をグラフ化してみる

になります。ただ、量が多くなるので、このページでは「出荷実績を入力できる」までを書きます。それ以降は別のページに記載しますので、このページの下のリンクから確認ください。

利用する環境の説明

まず最初は今まで紙に書いていたものをシステムに入力していきます。と言っても、最小限のことをするだけであれば、そんなに大変なことではありません。

まずは使用するシステムの環境の説明からします。環境のセットアップに関しては無料の「完全マニュアル」を用意していますので、そちらで確認してください。

農家さんのスマホ活用完全マニュアル

【利用する環境】
Google Drive(グーグル ドライブ)
Googleが提供するブラウザから使用できるオフィスソフトです。無料で特別なソフトウェアのインストールもせずに利用できます。ここではExcelと同等の機能を持った「スプレッドシート」と、ブラウザで入力フォームを作れる「フォーム」を利用します。

Gmail(必須ではない)
スマートフォンからGoogle Driveを使う時にあると便利です。無くても問題ありません。
※Gmail以外でもスマートフォンから利用できるメールアドレスがあればそれでも構いません。

スマートフォン または タブレット
実際に出荷実績を入力するのは畑とかだと思いますので、通常の作業はスマホを使うことを想定します。

パソコン(最初の設定でだけ使用)
日々の作業は基本スマートフォンのみで実施できますが、最初のGoogle Driveの設定に関しては、パソコンでやる必要があります。
また、伝票類を印刷する際に、スマートフォンから印刷する環境をお持ちでない場合には印刷用としてパソコンが必要となります。

Chrome(パソコンで使うブラウザ)
パソコンにはブラウザさえあれば大丈夫です(特別なソフトは不要です)。
ただ、ブラウザはGoogleが出している無料のChrome(クローム)を推奨します。Windowsに最初から入っているInternet Explolerは色々問題があるのでお勧めできません。
無料で簡単にインストールできるので、是非Chromeをお使いください。

Chromeのインストールはこちらから(別ウィンドウが開きます)

フォームを作ってみよう

出荷入力フォーム

まずは出荷実績を記録する為に、Google Driveで「フォーム」というものを使います。
このフォームとは、ブラウザから簡単にデータ入力する為の画面を作るツールです。右の画像のようなページをここでは作っていきます。このフォームで作った画面をスマートフォンから使って入力できるようになります。

 

フォームを作る為に、Google Driveへアクセスします。
※もしGoogle Driveへのアクセス方法がわからない方は「完全マニュアル」を見てください。画像付で手順を載せてあります。

Google Driveへアクセスしたら、「作成」ボタンから「フォーム」を選択しましょう。
最初にフォームの名前を入力するように指定されますので、「出荷実績入力」などと入力しましょう。これでフォームのひな形はできました。

  • フォーム作成1

    図1

  • フォーム作成2

    図2

 

あとはここに、記録したい項目を追加していくだけです。
このフォームは主にアンケート等を作るツールとして使われています。ですので、「質問」と表現されていますが、そこは気にせず「出荷時に管理したい項目」を追加していきます。また、単純にテキスト入力するだけでなく、最初に候補を設定しておいてそれをリストから選択したり、チェックボックスで選択したりすることもできます。

  • フォーム作成3

    図3

 

ここでは、上記に挙げた管理項目を以下のよう表のように設定していきます。

出荷管理項目のフォーム入力

表1(クリックで別ウィンドウで拡大表示されます)

それでは管理項目を入力していきましょう。まずは「出荷先」です。これはリストで選択できるような形式で作成します。
図4に沿って説明します。
 ①質問のタイトルに「出荷先」と入力します
 ②質問の形式は「リストから選択」を選びます。
 ③リストの候補が入力できるので、自分が出荷を予定している先の名前を入力します。
 ④一通り入力したら完了ボタンを押します。
これで1項目入力完了です。リスト形式で入力するものは基本的な操作は同様になります。

フォーム作成4

図4(クリックで別ウィンドウで拡大表示されます)

次は出荷日です。こちらは日付入力になるので「質問の形式」が違います。ただ「日付」を選択するだけなので簡単です。
今入力が終わった状態でその次の項目を入力するには「アイテムを追加」を押します。そうすると追加できる項目の種類が表示されます。これが「質問の形式」になります。ここでは「日付」を選択しましょう。

フォーム作成5

図5(クリックで別ウィンドウで拡大表示されます)

出荷先と同様に「質問のタイトル」を入力したら、あとは一応複数年使えるように「年を含める」にもチェックしておきましょう。それだけで終わりです。

フォーム作成6

図6(クリックで別ウィンドウで拡大表示されます)

続きは後半で

ここまででヘッダー部分(伝票単位に1つづつ設定する項目)は完了で、あとは明細行の設定になります。
後半ページで続きを説明をしていますので、続きをご覧ください。

出荷管理をスマホで記録できるシステムの作り方(後半)

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